基地問題

 埋琉球新報 主張

翁長雄志知事は9月21日午後5時すぎ(日本時間22日午前0時すぎ)、スイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会総会で演説し、日米両政府が進める名護市辺野古の新基地建設に県民が同意していないことを強調し、強行は人権侵害に当たり、あらゆる手段で阻止することを国際社会に訴えた。翁長知事は「沖縄の人々の自己決定権がないがしろにされている。辺野古の状況を世界から関心を持って見てほしい」と呼び掛けた。

 日本の都道府県知事が国連人権理事会で演説するのは初めて。知事は沖縄県民の過重な

基地負担を放置するのは人権問題だと強調し、国内外の批判の高まりによって新基地計画を止めたい考えだ。
 翁長知事は「沖縄の米軍基地は第2次世界大戦後、米軍に強制接収されてできた。沖縄が自ら望んで土地を提供したものではない」と述べ、米軍普天間飛行場の返還条件として県内に代替施設建設を求める日米両政府の不当性を主張した。
 また、「沖縄は国土面積の0・6%しかないが、在日米軍専用施設の73・8%が存在する。戦後70年間、いまだに米軍基地から派生する事件・事故や環境問題が県民生活に大

きな影響を与えている」と強調した。その上で「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」と訴えた。
 翁長知事は昨年の県知事選や名護市長選、衆院選など県内主要選挙では辺野古新基地建設に反対する候補が勝利したことに触れ「私はあらゆる手段を使い新基地建設を止める覚悟だ」と述べ、建設を阻止する決意を表明した

国連人権理事会で辺野古新基地建設中止を訴えたことについて翁長雄志知事は「沖縄の米軍基地は県民の土地を強制接収した上に建設された。県民は事件事故に恐れを抱き生活している。歴史を学ぶほど基地問題は人権問題だとの意識が強まった」と述べ、人権理事会で基地問題を取り上げたことの正当性を訴えた。

 第三者委員会が瑕疵(かし)があるとした埋め立て承認に関連し、関係職員への対応について町田優知事公室長は「職員は審査基準に対する考え方の下、適切に審査を行ったと理解している」と述べ、承認には瑕疵があったと判断したものの、職員を処分する考えはないとの考えを示した。仲田弘毅氏(自民)への答弁。

総務省が1977~2009年度まで日本戦災遺族会に委託して作成した「全国戦災史実調査報告書」に沖縄戦の被害が盛り込まれていないことについて、金城武子ども生活福祉部長は「国が県の被害状況を記録して残していないことは残念だ。国の責任で沖縄戦の被害状況について記録を残すよう求めていきたい」と述べた。仲宗根悟氏(社民護憲)に答えた。

 尖閣周辺をめぐる緊張について翁長知事は「中国と長い交流を持つ沖縄としてこれまで築いた友好関係を生かし、沖縄ならではの交流を推進することで日中関係の改善に貢献したい」と語った。砂川利勝氏(自民)への答弁。このほか、新里米吉氏(社民護憲)が質問した。
  翁長雄志知事は国連人権理事会での演説に関連して沖縄の独立について問われ「民意を受け、是正してもらいたいということが独立論につながるという方々が多くはないことは分かると思う」と述べ、新基地建設に反対することが独立の志向に直ちに結び付くものではないとの考えを示した。

また「沖縄の基地問題を解決しなければ日本の国は良くならない。世界に冠たるリーダーとして立つことはできない」と述べ、日本の民主主義が問われていると訴えた。花城大輔氏(自民)の質問に答えた。
 

 

沖縄タイムス 主張

 【ジュネーブ共同】沖縄県の翁長雄志知事は21日午前(日本時間同日夜)、スイス・ジュネーブ国連欧州本部で沖縄の市民団体が催すシンポジウムで講演した。引き続き、日本時間の深夜に国連人権理事会で演説し、米軍普天間飛行場名護市辺野古移設に反対の立場を訴える予定だ。 外務省によると、現職の都道府県知事が国連人権理事会で演説するのは初めてとみられる。

 辺野古移設をめぐっては、政府が県との集中協議に伴い中断していた関連作業を12日に再開。対抗する翁長氏は辺野古沿岸部の

め立て承認取り消しを表明し、帰国する24日以降に正式に取り消す方針を示している。

 

 「本当に辺野古の埋め立てを止められるのか、ということだが、私はそれを止めるために昨年の知事選で当選した。前知事が選挙の4年前の公約は県外移設で当選したにもかかわらず、3年目に国と交渉してコロっと変わってしまった。前知事の考え方は県民の意思とは違う。結果的に承認されたのでそれを覆すために昨年の一連の選挙で私たちが全部当選した。それを受けて第三者委員会で埋め立て承認が法律的に間違いないかと専門家の検証委員会を作った。その結果、ことしの7月に環境、法律の専門の6人が前知事の承認には瑕疵(かし)があると報告があった。それを元手にまずは法律的に造らせないための法的な闘争が始まっている。これから10年間工事が続く。その間に県知事と名護市長の許可を得なければいけない工事がいくつかある。県民は戦後27年間、米軍の施政権下で無国籍人として大変な抑圧を受け、それを一つ一つ人権獲得するためにみんなで力を合わせてきた歴史がある。辺野古にはあの戦争のことを知っている人、その話を聞いている人、高齢者の方がこの1年間、毎日百人単位で座り込みをしている。賛同する人も増えている。疲れる、朝から晩まできつい作業を少しも衰えることなくこんにちまで続け、これからも続ける。それを排除する県警、海保の様子を、皆さんが世界へ報道することによって、あの美しいサンゴ礁が埋め立てられるような過程があるとすれば、世界に発信して、見つめていただきたい」

 沖縄県議会(喜納昌春議長)の代表質問が30日始まり、翁長雄志知事はスイス・ジュネーブ国連人権理事会での演説について「沖縄の歴史的事実を学べば学ぶほど基地問題は人権問題という気持ちが強くなってきた」と述べた。 沖縄戦やその後の米施政権下で、土地を強制的に奪われ、基地を建設され、そこから派生する環境問題や、いつ起きるか分からない事件、事故に県民が不安や恐れを抱きながら生活している実態を「歴史的な事実」として挙げた。

 また「ないがしろにされている」と主張した自己決定権については「多くの県民が基地の存在に違和感を持ち、将来に不安を感じている。基地問題に翻弄(ほんろう)されるようでは沖縄に生まれた政治家として沖縄の将来を担う子や孫に責任が持てない」との認識を示した。

 また、町田優知事公室長は戦後70年間、過重な基地負担に苦しんできた沖縄側が「(普天間の)代替施設を考えなければならないのは大変理不尽」と指摘。政府に対し、安全保障の負担は全国で分け合うべきだ、と述べた。

 いずれも仲田弘毅氏(自民)の質問に答えた。

 

読売新聞

 沖縄県の翁長知事が、10日で就任から1年を迎える。米軍普天間飛行場名護市辺野古への移設についてあらゆる手段で阻止すると公言し、政府との間で激しい対立が続く。

ただ、強固姿勢で全国の注目を集める一方で、移設予定地で進む作業が止まる見通しはない。翁長知事は記者会見で一年の自己評価を問われ、県民の思いを背にやってきたものが、良い形で積み重ねられた。基地問題に多くの時間を割いたのは正しい選択だったと述べた。辺野古移設阻止を掲げて当選した翁長氏は、就任翌月には最初の一手を打った。仲井間前知事による移設先の埋め立て承認手続きを検証する第三者委員会の設置だ。反対姿勢を前面に打ち出す翁長氏に政府側は冷淡な反応を示し、四月になって初めて菅官房長官との会談が実現した。移設を斎々と進めると繰り返す菅氏に対し、翁長氏は上から目線だと激しく反発。以後、菅氏は、斎々という言葉を使わなくなった。八月から九月にかけての一ヵ月間は、政府との集中協議を実施。東京出張はこの一年で二十回に上った。海外にも活路を求め、五月下旬からは訪米して米政府関係者や上下院議員らに移設断念を訴えた。九月には、スイスで国連隣人理事会に出席し、沖縄の自己決定権や人権がないがしろにされているとアピールした。そして十月、承認には法的瑕疵があったとした。第三者委の報告をもとに、切り札と位置付けていた埋め立て承認の取り消しに踏み切った。しかし、この処分については国土交通省が執行停止を決定し、移設工事は現在も進む。

 政府は翁長氏の承認取り消し処分の撤回を求める代執行起訴を起こし、対立は法廷闘争に発展。起訴合戦となる。

 

県内外で移設反対を訴えた結果、翁長氏は世論喚起に一定の成果を上げたといえる。県には全国から三万通を超す応援、激励の手紙などが届いたという。長期戦に持ち込めば世論の圧力で移設はとめられるとの戦略だ。

 

私の考えは、基地を沖縄が負担するということは、沖縄県民に対する差別であると考えた。同じ日本という国にもかかわらず、なぜ沖縄にこんなにたくさんの基地を置かなければならないのか。日本が沖縄との関係を対等化し平等に物事を慎重に進めていかなければこの沖縄への差別という考えは消えないと考えた。

ここ最近の選挙では、辺野子への新基地建設反対を訴える人が県知事選や衆議院選では、勝利している感じが見受けられる。ただ、沖縄から、基地をなくすということは軍事関係にも多大な影響が出ると考えた。仮に沖縄から基地がなくなるとしたら、アメリカとの信頼関係にもひびが入り、もしかしたら北朝鮮や中国、テロリストが攻めてくる可能性も高まると思う。憲法9条がある限り日本は武力を行使することができない。どう日本を守っていくのかも考えていかなければならない。だが、今のまま沖縄に基地が残るもしくは、移設するとなればオスプレイなどの騒音被害民間人を巻き込んだ事故また、基地に住む外国人が犯した罪をどう裁くのかなど、問題も山づみではないのか。これからの沖縄県民の思考、行動、リーダーとして引っ張っていく翁長知事に今後の日本の未来が託されているのではないか。

一般人の考え行動を理解してもらいたい。

それから分析し話し合い決議をするなりしてほしい。一瞬のテンションで行動するから批判や公約違反が出てくる。テンションではなくモチベーションというのをしっかり維持し、個人的な意見を述べるだけではなく、みんなの住民の、県民の、日本人の、考えを代表としていってほしい。決定権がある代表が暴走して決定されると日本全体も暴走しかねないのではないだろうか。